重要課題「環境」に関する取り組み

航空運送事業を行う中でGHG(温室効果ガス)の排出が避けられない当社にとって、気候変動への対策は最も重要な課題の一つです。GHG排出量の少ない航空機やSAF(持続可能な航空燃料)の導入をはじめとした取り組みを推進し、環境負荷の低減と社会価値の創出を両立します。

省燃費機材への切り替え

スカイマークは、環境負荷の低減を目指し、2025年度以降から燃費効率に優れた新しい機材を導入する計画を進めています。導入する機材はボーイング737シリーズの最新型機であるボーイング737-8とボーイング737-10であり、これらの機材は従来機であるボーイング737-800と比較して、座席当たりのCO2排出量が15~19%も少ないという優れた環境性能を持っています。今後も、省燃費機材への切り替えを積極的に進め、環境への影響を最小限に抑えた航空サービスの提供を続けていく方針です。

ボーイング737-8(奥)とボーイング737-10(手前)

SAFの利用

スカイマークは環境負荷低減のため、2024年度以降、SAFの使用を開始します。従来のジェット燃料が原油から精製されるのに対し、SAFは廃食油やサトウキビなどのバイオマス燃料、都市ごみ、廃プラスチックを原料として生産されます。このため、原料の生産・収集から製造、燃焼までのライフサイクルを通じて、従来のジェット燃料と比較して約60~80%のCO2排出量を削減する効果が期待されており、航空分野でのGHG排出量削減に最も効果的とされています。スカイマークは2030年までに航空燃料使用量の10%をSAFに置き換えることを目標に掲げ、国の目標に沿った取り組みを進めています。また、2023年度より就航地を中心にSAFについての理解を深める活動も行っています。これらにより、航空運送サービスを持続可能な形で提供できる社会の実現に向けた歩みを進めて参ります。

省燃費運航の促進

スカイマークでは、安全運航を大前提に、運航におけるGHG排出量削減のために様々な工夫をしています。以下にその具体的な取り組みを紹介します。

  • 搭載燃料量の適正化
    飛行計画作成システムを刷新したことで、より実運航に即した設定でフライトプランを作成することが可能となり、搭載燃料量の一層の精緻化・適正化が可能となりました。
  • 機体重量の軽量化
    運航乗務員に提供していた航空情報を紙から電子媒体へ変更したり、機内誌のサイズやページ数を見直したりすることで機体重量を軽量化し、燃料消費の抑制を図っています。
  • 離陸上昇時のフラップ操作の工夫
    効率的に揚力を得るために使用されるフラップ操作を、状況に応じて最適なタイミングで行うことで、燃料消費を抑えています。
  • 着陸時の逆噴射の抑制
    航空機は着陸後、エンジンの逆噴射や車輪のブレーキ等により減速します。条件を満たす場合には着陸直後の逆噴射装置の出力を小さくすることで、燃料消費を抑えることができます。
  • APU(補助動力装置)の利用抑制
    APUは機体に搭載された補助動力装置で機内の照明や空調の動力として利用されますが、利用時には航空燃料を消費するため、GHGが発生します。駐機時にはAPUの代わりにGPU(地上動力装置)を電力・空調の供給源として利用することで、航空燃料の消費を抑えています。
着陸時の逆噴射の様子